ジオジブラ(GeoGebra)

次の図はz軸に対し捻れの位置ある線分を、z軸のまわりに回転させてできる立体。これを、板書だけで生徒に納得させるのは、結構難しい。軸からの最短距離を計算すれば、曲面は推測できるが、なかなか実感できない。これをGeoGebraは、簡単に表現してくれる。これは、GeoGebraで作成し、Htmlに「エクスポート」してBlogに埋め込んだもの。左のスライダーをマウスで動かせば、回転角を調節できる。右の3D画面は、マウスのドラッグによって自由に視点を移動できる。スクロールホイールで拡大・縮小も自由。立体をあらゆる視点から眺められる。これがプロジェクターでホワイトボードに投影できたら。

GeoGebraは、ヨーロッパで開発された数学ソフトで、ネット上でフリーに供給されている。まずは、GeoGebra日本語ホームページ をご覧いただきたい。web版、ダウンロード版などのソフトとその大凡の解説がある。その長所をあげてみると、

・なんと言っても、無料!。(Mathematica は2万円以上)生徒にも気楽にインストールを薦められる。

・上の例のように、グラフ、図形、曲面、立体などの動的な表現力にきわめて優れる。特に3Dが凄い。スライダーで定数を変化させたり、自動でスライダーを動かしてアニメーションにしたり、点を直接ドラッグして図形を変形することもできる。上の図は、2つの媒介変数で表された曲面になるが、あっさりと描画してくれる。

・作業手順が記録され、作成が比較的簡単。あとから手を加え調整するのも楽。グラフィック画面に直接書き込むと、手順が数式入力画面に記録される。数式入力画面に書き込むことで、グラフィック画面を描くこともできる。大凡の概形を作り上げてから、色、点の大きさ、線の太さ、ラベル、書き込みテキストなど調整して仕上げてゆける。中学校の図形程度なら、教室で生徒と対話しながら少しずつ書いていくのも面白いだろう。「ちょっと色変えてみようか・・」とか言いながら。

逆に欠点をあげると

・ヨーロッパ発のフリーソフトで、日本語の充実したHELPファイル、またはマニュアル本がない。手探りで習得することになる。例えば数式入力画面のエディターにも独特の癖があって、(Excel等と違い[enter]押すまでに既に解析が始まっている)慣れが必要。先のホームページで概略は分かる。使い方を解説した日本語ページも多くあるけれど、全体性に欠け、その上旧バージョンを元にしていて、現在のバージョンと合わないものも多い。

・特にファイルの出し入れが不明確。一度ログオンしてしまうと、ネット上に保存場所ができてしまい、インターネットに接続している限り保存場所が選べない。自分の思うところにファイルを書き込むには、逆に「ダウンロード」することに。

・思わぬところで動作が不安定。例えば、3D画面で2D画面上の領域を表示させると、どうもおかしい。でも無料なのだから我慢しなくては。今のところ、こちらのOSに実害を加えるようなことはない。(バグは報告できる。)

・数式処理も可能だけれど、その能力は、長年愛用してきた derive 等に比べると見劣りするように思える。

とにかく、Geogebra は、素晴らしいソフト。私も未だその機能の一部しか知らない。コマンドリストは膨大。どう作ったか想像もつかないすぐれた作品がネット上には数多く存在する。学校の先生には、コロナウイルスが収束するまでの時間の一部を使って、習得されることを是非オススメしたい。使っていくうちに、「くせ」がわかり慣れていく。私もその一人だ。教材も数多くネットにあがっているので、多くの先生方がこれを共有されることを願う。また、図を描き、着色が簡単なので、小学生にも使えそうである。

自作GeoGebra ファイル(*.ggb)を置いてみる。GeoGebra をインストールするか、Web版を開いて、読み込むと見られると思う。最初は2020年度京都大学入試問題6。このような問題を簡単に視覚化できるから有り難い。計算量が多く、結構重たくなってしまった。一つのシートでできる事の限界だろうか。

次は定番の、二次関数の最大最小。FunctioViewでも同様のことはできるけれどスライダーが使え、設定の自由度もこちらの方が大きいと思う。

空間の軌跡。定点と円周上の動点を通る直線と、平面との交点の軌跡。円錐曲線論から言えば、放物線になるのは分かるのだけれど、こうやって動的図形を作ることができて、あらゆる方向から眺められるのは凄い。