安倍晋三の教育に与える影響-政治に倫理性を

・ 競争相手が窮地にある時は、最大限これを利用しろ。
・ 自分に都合の悪いことは、しらを切る。
・ 議論は、論点をずらし決して負けを認めない。

国政に携わる人々のふるまいが若者に与える影響は、おおきいはずだ。教育は学校のみで行われるものではない。子供たちの生活する社会全体が常に彼らを教育している。この機能が充実している社会を良い社会と言う。まして国の最高意志決定機関である。決定され実行される政策の中身もたいせつだが、その決定過程は、国民にひとつの行動規範として受け取られることになる。安倍晋三は、多くのことを子供たちに教えた。

 かつて『敵に塩を送る』ことが美談として語り継がれて来た国だった。公正さを求める倫理規範は強く根付き、この国の繁栄を根底で支えてきた。安部氏の好きな「美しい国」のうつくしさはこういう所にある。何も日本だけ話ではない。審判の誤審を認めPKを外すシーンを集めた動画『10 Fair Play Penalty moments in Football』は、公開から1年で視聴回数約2千万回。社会は、法律だけによって支えられているわけではない。それを超えた倫理規範が生きているからこそ社会は円滑に機能する。現代社会は、中世以前の社会がその維持のために作り上げてきた倫理規範を前提として成り立っている。民主主義実現の過程で、この規範は書き換えられて来たが、決して廃棄されたわけではなかった。

(日本でこの過程がどうであったか、これが日本の現在を理解する根本問題だと思うが、その大風呂敷はここでは広げられない。)

 学校制度も、その例である。生徒と親が学校を学校として認めるから学校が成り立つ。その規範が崩壊過程にあることが、今学校が抱える最大の問題点だ。パン屋を和菓子屋に変えてまで道徳教育を充実させたい現政権が、自己利益の追求のためにはなりふり構わない。おかしな話だ。子供たちが学校で安倍晋三のように振る舞っていたら、子供たちが学校を自己利益の追求の場としか考えなくなったら、学校は瞬時に崩壊してしまう。教員の失敗に乗じて騒ぎ出す。校則違反をしてもしらを切り通す。授業や学級運営において、この様な生徒を少数派に追い込むこと、集団としての規範意識を作り上げることが、学校教員の最初の仕事なのだ。

もう一つ。現在の文科省は「国際化」教育に熱心である。小学校からの英語教育をますます広げようとしている。(パン屋を和菓子屋にする事とずいぶん矛盾していると思う。充実した日本語教育の方がよほど大切だと思うのだが、それは別項で述べた。)

『グローバル社会にあって様々な人々と協働できる人材,とりわけ国際交渉など国際舞台で先導的に活躍できる人材を養成する。』-第2期教育振興基本計画(平成25年6月14日閣議決定)成果目標5

 国の最高意志決定機関におけるその政策決定過程は、子供たちにとって「議論をすること」の最も洗練された手本になるはずだ。議論には議論の規範がある。民主主義を支える根幹のルールだ。その中には、負けを負けと認める事も含まれる。ストライクを3つ見逃したのにバッターボックスを去らないプレーヤーがいたら、野球は成立しない。『国際交渉など国際舞台で先導的に活躍』するためには、英語を学ぶことよりもまず「議論をすること」とその規範を学ぶ必要がある。そしてなによりこれが民主主義を育てる基本だ。まず国会が議論の規範とこれを守る倫理性を示すべきだ。安倍晋三の「共謀罪」「森友学園」「加計学園」を巡る答弁は、手本となり得たか。

教育に対する悪影響として書いたが、本来民主主義政治の運営は倫理的でなくてはならない。あらゆる可能性を尽くしあらゆる立場をふまえた最善の政策決定をし、それを実行するために。専制政治を廃し国民の民主的意志決定を守るために。

 安部政権の終焉を望む。憲法の解散権が悪用された総選挙を前に。